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園長日誌

新入園児説明会でもお話ししましたが、園を運営するにあたり教育保育の方針やルール作りなどを決定する際の基本的な考え方があります。
保育者は複数の園児のことを、保護者は我が子のことを考えて行動するわけですから、2者はともすれば相容れない立場になりかねませんが、基本的な考え方を共有すれば安心して園生活を送れると思い、紹介します。

①チルドレンファースト(こどもがまんなか)
②コンプライアンス(法令遵守)
③エビデンス(根拠・確証)
④コミュニケーション(情報交換)

①ニワトリが先か卵が先かという議論がありますが、私たちはまず子どもにとって有益なのか、を考えます。
保育サービスを提供する場合、保護者にとって有益であるサービスが必ずしも子どもにとって有益で無いことがあります。例えば就労のため長時間預けなければならない家庭にとって延長保育は必要なサービスです。
しかしながら平日お仕事がお休みのときなどは、乳児であれば園を休んでもらってかまいませんし、幼児は教育的要素もあるので休まなくてもいつもより早く迎えに来てもらいたいのです。子どもにとって極端に親子で過ごす時間が短いと愛情不足に陥りやすくなりますし、現にそのようなお子さんを見かけることがあるからです。

②園を運営する上で様々な法令があります。教育基本法に始まり、児童福祉法、学校教育法、学校保健安全法、幼保連携型認定こども園教育・保育要領などとても覚えきれないほどです。(覚える必要もありませんが、頭の片隅には留めています)
すべて遵守しているつもりですが、あまりにも多すぎて、もしかしたら知らず知らずに遵守していないこともあるかもしれません。
但し、園のルールを決める際、特に健康面、安全面においては十分に気をつけて法令に照らして対応しています。

③園では幼稚園教諭、保育士資格を有した教職員、つまり教育の専門的知識を有した保育者が日々子どもたちと過ごしています。もちろん、様々な専門家の研修を通して最新の教育保育の知識を学ぶことで、その効果や意義について裏付けをしています。それ以外にも看護師、栄養士がおり、嘱託として学校医、学校歯科医、学校薬剤師もおります。
大事ないのちをお預りするわけですから、専門的知識による根拠をもって取り組んでいます。

④最後になりますが、実は一番大切なことはコミュニケーションです。
保育者間、保育者と園児、保育者と保護者、親子。
すべてが良好な状態であれば子どもにとって最高の利益となることでしょう。
過去に各地で起きた園での事故の多くは、保育者間、保育者と園児、保育者と保護者のコミュニケーション不足が原因であったことが分かっています。
コロナのワクチンを打つなとか、〇○茶を飲めばコロナに感染しないとか、エビデンスもなければ、そもそも匿名ですからコミュニケーションの取りようもない手紙が全国の学校や園に届きました。当園も多分に漏れずです。
本当に子どものことを思うなら、匿名などではなく、堂々と話せばよいと思いますし、人に聞いた話を鵜呑みにして言われても、にわかに信じるほど愚かではありません。

コロナ禍と言われて2年が経ちました。
相変わらずマスクをし、毎日消毒作業に時間を取られ、本来取り組みたいこともなかなか取り組めない状況が続きます。
だからこそ、慌てず、一つ一つ丁寧に4つの考え方に照らしながら取り組んでいきたいと思います。

まん延防止等重点措置期間が終了することから、子育て支援「コアラのおへや」を3月7日(月)より再開します。
なお、利用にあたっては三密対策として人数制限を実施しますので、ご予約者のみの利用となりますので、予めご容赦ください。

子育てに関する個別の相談はオンラインでも実施しておりますので、ご希望の方は園までお問い合わせください。

1年前、中央教育審議会(中教審)が「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~すべての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現~(答申)を発表しました。
A4サイズで92ページに及ぶ内容に幼児教育に関する部分は6ページ程度です。もちろん6ページ以外にも関係する内容もありますが、あまり幼稚園は関係ないかと当初は軽く目を通す程度でした。

先日の園内研修で東京家政大学の佐藤教授が個別最適な学び、協働的な学びに触れていて、どこかで聞いた言葉だなと思い、ネットで検索をかけたら中教審のこの言葉がでてきたものですから、改めて読んでみました。

内容については研修内容に沿って現場レベルの一面で捉えますと、保育者が面白いと感じる保育から子ども自身が面白いと感じる保育(個別最適な学び)、そして保育者がその気持ちを汲み取り、他児やその内容を拡げていく保育(協働的な学び)といったところでしょうか。

答申ではその方向性や内容について7項目で示し、改善・充実が求められるものとして、例えば小学校教育との円滑な接続などが挙げられています。
私個人の意見としては既に取り組んでいるものばかりで目新しいものはありませんが、一方でなかなか改善が進まないものもありますので、今後改善のスピードを上げていく必要があると実感しています。
但し、現実問題としてコロナ対策、人材確保対策など喫緊の課題解決が求められる中、限られた時間と労力と予算の中ですべてにスピード感をもって取り組むことは並大抵のことではありません。
無理をすれば必ず歪みが出ます。

今まさに社会の変革期でしかもかなりの速さで進んでいます。
急ぎつつも慌てず、確かな一歩を進めるように取り組みたいと思います。

1月22日(土)、今年最初で最後の園内研修を開催しました。
今年度もかねてからお世話になっております東京家政大学の佐藤康富教授よりご指導いただきました。
8月下旬と今回と2回ご指導いただく予定でしたが、8月の際はデルタ株感染の疑いが園内にあったため中止、今回はオミクロン株が流行しているものの園内に感染の疑いがないので、なんとかリモートではありますが開催することができました。研修に先立ち、10月から問題提議資料や小グループでの話し合いを実施していたので、無駄にならず安堵しています。

佐藤教授の講義を聞く中で、改めて感じたのは先生方がこのコロナ禍でよく頑張ってくれたことです。
せっかく行事や保育の準備をしても、感染対策で取りやめたり、そのため無駄になった物をたくさんありました。
この際、ただ預かることだけに終始してもよかったのですが、心が折れることなく少しでも子どもたちの成長につながるよう、創意工夫の努力を惜しまず取り組んでくれたことに只々感謝しかありません。

保護者の皆さまの中には物足りないと思われた方もいらっしゃると思います。
もちろん、保育を振り返る中でもう少しこうしたらよかったのではないか、ということはありますが、それでも形を変えてでも教育保育を投げ出すことなく続けたことに園長として先生方に賛辞を贈りたいのです。

残すところ最後の大行事としてお遊戯会を控えています。
どんな形になろうとも、開催にこぎつけたいと思います。
保護者の皆さまには子どもたちの体調管理にのみならず、ご家族で協力し合って感染予防にご協力いただきますようお願いします。

 

昨日(12/21) 「こども政策の新たな推進体制に関する基本方針」が閣議決定されました。
「こども庁」は衆議院議員選挙前に突如出てきた構想ですが、選挙では取り上げられることもなく、ここへきていつの間にか「家庭」がくっつき、幼児教育は蚊帳の外となって話が進んでおります。
創設に向けた基本理念を見ても妊娠前からおおよそ成人するまでの児童福祉がメインで、教育は文科省のままです。ほぼ厚労省の一部機能が子ども家庭庁に移管する形になっているように見えます。

園長として期待したいことは、障害児への支援が一本化し、切れ目のない、十分な支援が実現することでしょうか。
現状は切れ目があり、支援額も地域によってバラバラなうえに不十分で、そんな中、インクルーシブ保育を実施することは、現場の先生と園に大変な負担を強いています。

最初は思い描く理想と程遠くても、一歩ずつこどもを巡る環境が良くなることを期待したいと思います。

参考までに以下、創設イメージを添付しました。

こども家庭庁イメージ

それでは皆さま、よいお年をお迎えください。

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