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園長日誌

9月21日(土)、午前午後と2つの研修を実施しました。
午前中は県私幼協会が委託を受けた文科省の人材確保支援事業の一環としてキャリアパス導入に向けた運用支援について、鎌倉女子大学 佐藤康富 教授よりご指導をいただきました。
今回はまず、それぞれの課題の掘り起こしと予想される解決策について出し合うところまで行いました。今後は月単位で振り返り、12月末に中間報告、2月末に再度佐藤先生よりご指導いただく予定です。ですから今年度で終わる研修ではなく、次年度以降も継続して行うことになります。

午後は保護者の方の中にダンスの先生がおり、お声をかけたところ快くご指導いただけるとのことでしたので、2部制でご指導いただきました。
先生方は午前中の座学よりも生き生きと参加していました。

研修は必要ですが義務ではありません。ですから自主性がつよく、その源は向上心であり、物理的精神的にも余裕がなければできません。

現在新潟県はかつてないほどの財政危機が迫っています。
そのため、聖域なき財政カットを実施しようと躍起になっています。
幼児教育・保育の業界も例外ではありません。長年、県議団と協力しながら100円単位の補助金を積み上げてきたのですが、それも一瞬で崩されようとしています。
保育団体がしぶとく要望を出し実現してきた未満児保育補助事業(1歳児の職員配置を手厚くするための補助事業)も聖域とはされず、財政カットの対象となっているようです。
新潟県の幼稚園教諭、保育士の平均勤務年数はともに全国1位であり、そのことにより保育の質は高く、安心して預けることができる環境を作ってこられたのはいうまでもありません。そしてそれは県の協力があってこそなのです。

今その状況が危機にさらされています。
もしあらゆる支援がなくなったとき、現場は人手を減らすしかありません。1人1人の保育者の負担は増え、退職者も増えることでしょう。保育の質は下がり、安全だけは維持しようとするだけで精一杯。満足な研修を受けられずにいれば、安全性すら低下するかもしれません。

「聖域なき」などというのは格好がいいかもしれませんが、未来ある子どもたちために投資だと思って支えてくれないでしょうか。
今こそ大人たちが「主体的」「対話的」に知恵を絞る番です。

8月は3回の研修に参加しました。
19日からは静岡、甲府と移動しながら4日間研修に参加、甲府ではフォーラムの内部ゲストも務めさせていただきました。

4日間の研修を振り返って感じたことは、
①多様性
②バランス
③小さな工夫
といったところでしょうか。
実にたくさんの園が様々な手法を用いて実践している、私学ならではの多様性は本当に勉強になります。今回、私を含めて計7名の教員が参加しましたが、明日からの保育にきっと役に立つ実践事例があったことでしょう。

と同時にこれからの幼児教育を考えた場合、今のままで良いということはありません。現代は私たち大人が考える以上に変化のスピードが速まっています。
しかし、すべてを変える必要はなく、過去の実践と新しい実践のバランスの良い取り組みが重要だと思います。すべてを否定して新しいことに挑戦しても保育者、保護者の支持、園児のスムーズな取り組みがなければ良いものにはなりません。

仮に昨年と同じ内容の保育をおこなうにしても、こどもは十人十色なのですから、何よりも子ども声に耳を傾け、その声に沿った工夫が必要となります。また、先生同士情報や実践を共有すること、もちろん計画や結果を受けての振り返りなど地道なPDCAサイクルを繰り返すことも重要です。

いよいよ2学期が始まります。
先生方には研修の成果を反映できるよう期待しています。

アタッチメントという言葉があります。
「誰かに特定の人にくっつきたいと強く思う心の傾向」を指して言います。それは代表的な存在として親であり、他にも祖父母や保育者ということにもなるでしょう。
小さな子どもにとって、不安が生じたとき、あそこに行けば慰めてくれる言わば「安全な避難所」であり、「安心の基地」として再びそこから出発できる存在です。
乳幼児期の安心感は信頼感や不信感を形成する重要な要因となり、その後の人間関係、つまり友だちや恋人との関係においても繰り返されると言われています。

では子どもと接する上で、私たちはどのようなことを気をつければよいでしょうか。
子どもは「転んで痛い」という感情と、「転んで悲しい」という感情はまったく別なものとして捉えています。ですから「大丈夫、痛い?」と寄り添うことで次第に「悲しい」という感情も連動してくるそうです。感情のラベリングと言います。
こうして知り得た感情を今度は別の子が同じ状態になったとき、「転んで悲しい」つまり、いたわりや思いやり、共感性として育まれていきます。
ですから、私たちはまず子どもの気持ちに寄り添ってあげること、子どもの気持ちを汲み取り言葉で語りかけることが重要です。

とはいえ、何でもかんでも寄り添えば良いかというと、気をつけなければならないことがあります。それは先回りをして何でもしてあげることです。「ヘリコプターペアレント」などと言われています。
転ばぬ先の杖として失敗させない、レールを敷いて人生を成功へと導こうとする、つまり過保護です。

子どもから自分に働きかけてきた時だけ手を差し伸べ、抱きしめて、声をかける。
言わば「子どもの応援団」であり、下支えする黒子になることが大切です。

2019/07/12 視察を終えて

毎年恒例となっている園長視察研修に行ってきました。
私が市私幼会長の時に始めたのですが、現会長も賛同していただき、しかも今年は一泊で群馬県の幼稚園を視察に伺いました。
「百聞は一見にしかず」という言葉通り、充実した視察研修となりました。

とても当園ではまねできない様々な実体験を可能にしている園がありました。
地域性をうまく活用していることはもちろん、理事長先生、園長先生の思いや熱意が伝わり、改めて私学の素晴らしさを感じることができました。

以前、東京のある園長先生の言葉が今も心に残っています。
「私学の良さは同じことをしている幼稚園がないということ。親にとって我が子に合うかなど選択できることが何よりも大切なことである。」

考え方は違ってもどの幼稚園も「子どもにとって何が大切か」、この問いを追い求めて子どもと向き合っているのではないでしょうか。我が園もそのひとつです。
我が子に合うかどうかは親にお任せするしかありませんが、限られた時間の中でいかに効率よく、ときに時間をかけて取り組むかを常に考えながら。

2019/06/14 園探し

そろそろ来年度入園の保護者の方から、園見学の問い合わせがきていますので、少し当園についてお話しします。

幼児教育の手法は様々あり、例えばモンテッソーリ、シュタイナー、レッジョエミリア、ピラミッドメソッド、森の幼稚園、○○式など数えればきりがありません。
私も園長になる前、今日までの建学の精神や教育目標を踏襲しつつ、何か特色ある保育はできないか模索しました。

結局どれも一長一短あり、一つに決めることはできませんでした。むしろそれぞれの良さを保育の場面場面に生かすことはできないか、そんな取り組みを今も続けています。
ですからバランスよく取り組むことを大切にしています。
一つに固執すると何かを犠牲にしなければなりません。可能性の塊である幼児期の子どもたちにとって、一番大事なことはなんなのか考え抜いた結果です。

先日、近所の小学生が街探検でやってきました。
「幼稚園の一番自慢できることは何ですか」と聞かれ、少し考えてしまいました。
先生方の日ごろの取り組みを考えれば自慢できることばかりです。自画自賛かもしれませんが、本当によく勉強し創意工夫しています。

自慢ではないのですが、近年力を入れていることがあります。
それは子どもたち一人一人のポートフォリオです。
平成27年4月から子ども子育て支援新制度が始まり、以前より保育者を多く配置することができるようになりました。せっかく先生が増えたので今までできなかったことがしたいと思い、始めたのがフォトフォリオです。写真付きのポートフォリオなのでフォトフォリオと名付けました。
フォトフォリオは子どもの成長記録であり、ラーニングストーリーであり、先生と園児との関わりの記録です。写真付きなので子どもも見られますし、先生のコメントによって保護者も園での成長を感じることができます。
保護者の方には10歳になったとき、もう一度親子で見返してくださいとお願いしています。それは書いてある文章を読める年齢であるとともに、幼児期の自分の姿を思い出すタイムカプセルとなるからです。
そこには子どもなりの努力する姿があり、親以外に私を見つめる先生の姿があります。そして自尊感情を育むことができる、いわば宝物です。

外から見れば、英語講師も常勤していますし、体育教室やサッカー教室なども正課内で取り組んでいますので、早教育も充実しているように見えることでしょう。
でもしっかり育みたいのは社会情動性スキル(非認知能力)と言われる創造力、思いやり、決断力、忍耐力などであり、そのために何をすべきか常に求め、取り組んでいます。

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