園長日誌
先週2泊3日で広島へ視察に行ってきました。
広島大学、及び附属幼稚園、私立幼稚園1園、広島県幼児教育支援センターと伺い、大変濃密な視察となりました。
広島県は、新潟県より早くに幼児教育支援センターを立ち上げ、特に家庭教育支援の充実に力を入れています。
また、広島大学やその協力園を中心に主体的な遊びを支える保育者の専門性についても実践研究が進められています。
内容について紹介すると大変長くなるので、園内研修を通して先生方には下ろす予定です。ここでは全体の感想を記載したいと思います。
そもそもなぜ、広島が幼児教育に熱心なのでしょうか。その答えは支援センター担当官もよくわかないようでしたが、最終日に立ち寄った原爆資料館にヒントがありました。予め誤解がないようにお話ししますと幼児教育だけでなく教育全般においてです。
皆さんは原爆資料館に伺ったことがありますでしょうか。私は広島の資料館は今回が2度目です。ちなみに長崎の原爆資料館も2度伺っています。
伺ったことがなくても原爆の悲惨さはおわかりのことでしょう。罪のない大勢の方々、大人だけでなく子どもも一瞬のうちにたくさん犠牲となりました。やはり戦争はいかなる理由があろうとも、決してやってはいけない愚かな行為だと再認識できます。
しかし、今から79年前に実際に戦争は行なわれ、そして広島は灰になりました。残された者たちは、復興に向けて進まなければなりません。資料館には復興の歩みも展示されていて、そこにヒントがありました。復興に一番必要なものは人材だったのです。人材は一朝一夕には手に入りません。時間をかけて教育する必要があったのです。同じようなことがここ長岡にもありました。戊辰戦争のあとのあの米百俵の故事です。
さて、今の新潟県はどうでしょうか。
遅まきながら幼児教育センターも2年前に設置されました。様々な少子化対策が打ち出され、以前とは比べ物にならない支援策に国主導で大金をつぎ込まれていますが、なかなか成果は出ていないようです。
そろそろ幼児教育にもしっかり目を向けていただきたいものです。
新年度が始まり1か月経ちました。
毎年のことですが、1年で一番慌ただしい1か月であり、あっという間に過ぎてしまいました。息つく暇もないという表現がぴったりです。
さて、私は隣接する浄土真宗寺院の住職をしております。自分では本職は僧侶だと思っているのですが、1週間の8割近くは園長として仕事しているので、傍から見れば僧侶はおまけに見られるかもしれません。
ですので今回は少し仏教のお話をします。
私の宗派の開祖は親鸞聖人です。鎌倉時代になんと90歳まで活躍されました。当時の日本人の平均寿命は30才にも届かなったそうですから大変な長生きでした。歴史に名を遺す偉人はやはり、超人的な生命力があるのかもしれません。
その親鸞聖人が90歳の時に書かれた書物の中に「自然法爾(じねんほうに)」という言葉が出てきます。
わかりやすく意訳すると「あるがまま なすがまま」という意味です。
仏教ではこの社会は原因・縁起・結果(因縁果)の組み合わせで成り立っていると考えます。
例えば、交差点で交通事故があったとします。原因は一方の信号無視、結果として2台の車が衝突して運転手双方が怪我をしました。交通ルールを守れば起きない事故ですが、事故にならないという視点から見ると、場所・時間がずれていれば事故は起きなかったとも言えます。たまたまその交差点をその時間に通過したために事故にあったわけです。これが縁起(ご縁)ということになります。
つまり、逃れようのない力が我々には働いているということです。それを運などと表現することもあるでしょう。
親鸞聖人はこの逃れようのない力をあるがまま、なすがままに受け止めよ、と申されています。そのおこころは、前向きに(ポジティブに)受け止めよと味わうことができ、心豊かな人生になることを伝えてくれているのではないでしょうか。
春は寒暖差から体調も崩しやすく、子どもたちもよく熱が出てお迎えに来てもらうことがあります。不思議なものでお父さんやお母さんが迎えに来て、お家に帰ると熱が下がることがあります。園では時間をあけて、何度も計測して、熱が下がりそうもないと判断してからお迎えを要請するにもかかわらずです。
お仕事を中断してお迎えに来たのに、すぐに熱が下がったと不満に思うこともあるでしょう。でももしその後、熱が下がるどころか上がり続け、入院ということにでもなれば親も子も大変です。
「熱がすぐに下がって良かったね」と前向きに受け止めたらどうでしょう。
その方が断然、心豊かに、楽しく子育てができるのではないでしょうか。
すべての事象を前向きに受け止めることは難しいことですが、前向きに受け止める努力をし続けると、何かが変わるかもしれません。
昨年度、分園も含む全クラスで各々テーマを決め、実践研究を実施しました。
先日、その園内発表会を開催しました。
報告書は教育方針のページと、なごみ保育園分園のページに掲載してありますのでご覧ください。
実践研究は保育をしながらですので、時間制限もある中、よくやっていただいたと感心しています。
保育の創意工夫をどのように取り組んだらよいか、教具を製作するクラスもあれば、環境設定の改善や手順の研究であったり、バラエティに富んだものとなりました。
私立幼稚園の良さは、建学の精神に基づいた唯一無二の特色ある保育を展開できること、そしてフットワーク良く取り組めることです。
一方、当法人はこども園と小規模園の2園しか運営していませんので、ほぼ転勤がなく、そのためマンネリ化(井の中の蛙化)してしまう恐れもあります。
実践研究は保育の質を高めることが第一の目標ですが、マンネリ化防止や意欲の向上も趣旨に含まれます。
今年度も実施します。現在、子どもたちの様子を見ながら、今年度のテーマを各自検討中です。
せっかくご縁のあった子どもたちです。
さらに実りある保育が展開できるように、全職員で取り組みます。
報告会の様子
今年度はすべてのクラスで各々テーマを決め、保育研究を実施しました。
4月の園内発表後、ホームページ上で研究結果を公表する予定です。
その前になごみ保育園分園(バンビ組0,1歳児クラス)で取り組んだ、『乳児期における絵本の活用法や効果について』保護者向けにまとめたものを担当職員が作成しましたので掲載します。
下記をクリックしてPDFをご覧ください。