電話番号

園長日誌

先日、あるセミナーに参加してきました。
幼児期にSTEAM教育を進める上で何が重要なのかを学ぶ機会でした。
STEAMとはScience、Technology、Engineering、Art、Mathematicsの頭文字をとったものです。

プレイフルラーニングという言葉があります。
同志社女子大学の上田信之先生によると「真剣に向き合うこと、柔軟であること、協調のためのエンジン、実現できそうな予感にワクワクすること」と定義されました。
簡単にいうと「楽しさの中にこそ学びが溢れている」ということだそうです。
机に向かって一人でコツコツと取り組む学びに対して、皆でワイワイガヤガヤ自由に取り組む学びといったところでしょうか。
たしかに仕事も皆で取り組む方が楽しいですし、パソコンに一人で向かって取り組む仕事は楽しいものではありません。

幼児期の子どもたちがSTEAMに取り組むためには、興味を抱いた遊びや事象にとことん取り組んでいく、1人ではなく、皆で分かち合っていくことが出発点のようです。
それに付き合う私たち大人は最大限頭を柔らかくしなければなりません。
セミナーのワークショップで、隣の人が書いた図形に図形を書き足してタイトルをつけるワークを行いました。
指示されたものは〇、△、□を好きなように書くだけです。
ところが誰一人として同じ図柄はありません。
そしてそれに何を書き足して何に見立てるか、同じものはありません。

自由な発想と言葉では言うことは簡単ですが、そこには他者を認め、互いの思いを共有させていくことが大切だと改めて感じました。

幼児期は資質・能力の基礎を育む年代です。
私たち保育者は今よりずっと頭を柔らかく(園児一人ひとりの個性を認め、思いを共有していく)ことが求められていて、それこそがSTEAMを進めるエンジンとなることだと気づかされるセミナーでした。

OECDは「2030年に望まれる社会ビジョン」と、「そのビジョンを実現する主体として求められる生徒像とコンピテンシー(資質・能力)」について、30を超える国の政策立案者・研究者・校長・教師・生徒・民間団体が集まり、対話を重ね、創造・協働してきました。
今もなお、現場レベルにおいて、例えばカリキュラム、養成、研修方法など議論を続けています。

そのプロジェクトにおいて昨今耳にするのが、「エージェンシー」という言葉です。
エージェンシーというと代理店というイメージですが、生徒をエージェント(代理人)に見立てて、「変革を起こすために目標を設定し、振り返りながら責任ある行動をとる能力」と定義しています。
難しい内容なので私自身の理解が正しいのか、いささか不安ですが、敢えて私なりの解釈をお話ししたいと思います。

まず、前提に社会が急速にAI化、ICT化していること、そしてしあわせの価値観が多様化していることが挙げられます。
戦後、右肩上がりの経済成長を続けていた時代は、一人ひとりが稼いで裕福になれば結局は国自体が富み、皆がしあわせになるはずでした。
しかし、現代ではライフワークバランスが見直され、必ずしも猛烈に働いて稼いでもしあわせが実感できないことに気づいた人が増えてきました。

価値観の多様化は悪いことではありませんが、一方で身勝手な行動を認めるものではありません。
日本では「アクティブラーニング」を「主体的、対話的で深い学び」と訳しました。問題に直面した時、自ら考え、主体的に行動していく。と同時に周囲の意見を参考にしたり、取り入れたり、同調したり、譲り合ったり、ぶつけあったり、対話することで問題解決に取り組むための学びが不可欠です。

わたしたちは社会の構成員として生きていますから、その社会に参画していることに対し、自らの役割や責任を認識したうえで主体的に行動すること、それがエージェンシーということになります。

では、保育ではどのように取り組んだらよいのでしょうか。
園の創建時からの精神でもある「知・徳・体 調和の取れた保育」がやはりベストだと思います。
一斉保育と 個別の遊び(学び)、得意な活動と苦手な活動への取り組み、デジタルと  アナログ、仮想と現実など、すべてがバランスよく取り組む姿勢が、今まで以上に求められているように思います。

急激な時代の変容に取り残されそうですが、新しいものを加えるばかりでは疲弊するだけですので、今あるものに少し手を加えたり、改めたり、時には止めてみたり、急激な変化の時代だからこそ、少しずつ変化していけるようにしたいと思います。
振り返ったら誰もいないでは困りますから。

ご入園、ご進級おめでとうございます。

コロナ禍にあり今年度も保護者総会の開催が難しいことから、令和4年度の目標(スローガン)と重点方針についてご報告します。

目標(スローガン)
3歳以上児:自分らしさを発揮して、輝く個性を認め合おう!
3歳未満児:わくわく、ドキドキを大切に、「やりたい、できた」の芽を育もう!

昨年度当園の所在地である長岡市立東中学校区では学区内の小学校、幼稚園、保育所で話し合い、「子どもに育てたい3つの力」として以下のように定めました。
1.多様性の受容(様々な価値観の受容とマイノリティへの理解)
2.たくましさ(他とかかわりながら、問題解決に向かう力)
3.未来へのビジョン(個人・地域・社会の未来を描ける想像力と行動力)
これらを踏まえて教職員で案を出し合って定めました。
一人ひとりの個性や育ちを園児本人、保護者、保育者も認め合いながら伸ばしていける環境作りも併せて重点方針に織り込みました。

重点方針
3歳以上児:
コロナ禍で失われた異年齢交流の機会を増やす。(1学期は4,5歳児で、2学期からは3~5歳児でスーパーウオールを活用した縦割り保育なども検討してコミュニケーションの機会を増やす)
2歳児:
新園舎における保育室と小さな園庭の活用。(空間の垣根を超えた保育を検討し実践する)
0,1歳児:
0歳児室と1歳児室の使い分けと園児間、職員間の新たな交流を検討し実践する。
分園:
本園(新園舎)や地域資源を活用した保育の掘り起こしを実践する。

コロナの影響で遅れております新園舎の建設ですが、現在8月上旬の引き渡しを目指して進んでいます。
6月頃には概ね引越し時期が決まり、引越しの期間は園児の安全を踏まえ休園する予定です。保護者の皆さまにはご理解とご協力をお願いします。

園長になって丸12年になりました。
1年1年楽な年などありませんが、今年は間違いなく一番疲労困憊した1年でした。
その原因は1位コロナ、2位園舎新築工事です。
園舎の新築工事はそれこそ生みの苦しみですから、ポジティブなストレスです。
一方コロナは目に見えない敵との戦いですから、精神的に本当に参りました。

一年を通して行事の変更、延期、中止に何度となく対応に迫られ、年が明けて第6波は2度に渡り感染者が発生しましたが、行政の指導により休園をせず開園、挙句に濃厚接触者の割り出しや後処理は園任せの現状に、疲労とストレスで実際めまいがしたほどです。

一層のこと、最初から行事もやらず、感染防止のみに力を注ぐだけならば楽ができたかもしれません。
でも私たちは諦めず、職員一同協力してやり遂げました。
きっとその姿は子どもたちにも伝わったと思います。

年長児はいよいよ明日から小学生です。
最後まで諦めない心、やり抜く力、そして何よりも一人ではない、仲間がいるからともに進んでいけることを忘れずに、これからの活躍を期待しております。

新入園児説明会でもお話ししましたが、園を運営するにあたり教育保育の方針やルール作りなどを決定する際の基本的な考え方があります。
保育者は複数の園児のことを、保護者は我が子のことを考えて行動するわけですから、2者はともすれば相容れない立場になりかねませんが、基本的な考え方を共有すれば安心して園生活を送れると思い、紹介します。

①チルドレンファースト(こどもがまんなか)
②コンプライアンス(法令遵守)
③エビデンス(根拠・確証)
④コミュニケーション(情報交換)

①ニワトリが先か卵が先かという議論がありますが、私たちはまず子どもにとって有益なのか、を考えます。
保育サービスを提供する場合、保護者にとって有益であるサービスが必ずしも子どもにとって有益で無いことがあります。例えば就労のため長時間預けなければならない家庭にとって延長保育は必要なサービスです。
しかしながら平日お仕事がお休みのときなどは、乳児であれば園を休んでもらってかまいませんし、幼児は教育的要素もあるので休まなくてもいつもより早く迎えに来てもらいたいのです。子どもにとって極端に親子で過ごす時間が短いと愛情不足に陥りやすくなりますし、現にそのようなお子さんを見かけることがあるからです。

②園を運営する上で様々な法令があります。教育基本法に始まり、児童福祉法、学校教育法、学校保健安全法、幼保連携型認定こども園教育・保育要領などとても覚えきれないほどです。(覚える必要もありませんが、頭の片隅には留めています)
すべて遵守しているつもりですが、あまりにも多すぎて、もしかしたら知らず知らずに遵守していないこともあるかもしれません。
但し、園のルールを決める際、特に健康面、安全面においては十分に気をつけて法令に照らして対応しています。

③園では幼稚園教諭、保育士資格を有した教職員、つまり教育の専門的知識を有した保育者が日々子どもたちと過ごしています。もちろん、様々な専門家の研修を通して最新の教育保育の知識を学ぶことで、その効果や意義について裏付けをしています。それ以外にも看護師、栄養士がおり、嘱託として学校医、学校歯科医、学校薬剤師もおります。
大事ないのちをお預りするわけですから、専門的知識による根拠をもって取り組んでいます。

④最後になりますが、実は一番大切なことはコミュニケーションです。
保育者間、保育者と園児、保育者と保護者、親子。
すべてが良好な状態であれば子どもにとって最高の利益となることでしょう。
過去に各地で起きた園での事故の多くは、保育者間、保育者と園児、保育者と保護者のコミュニケーション不足が原因であったことが分かっています。
コロナのワクチンを打つなとか、〇○茶を飲めばコロナに感染しないとか、エビデンスもなければ、そもそも匿名ですからコミュニケーションの取りようもない手紙が全国の学校や園に届きました。当園も多分に漏れずです。
本当に子どものことを思うなら、匿名などではなく、堂々と話せばよいと思いますし、人に聞いた話を鵜呑みにして言われても、にわかに信じるほど愚かではありません。

コロナ禍と言われて2年が経ちました。
相変わらずマスクをし、毎日消毒作業に時間を取られ、本来取り組みたいこともなかなか取り組めない状況が続きます。
だからこそ、慌てず、一つ一つ丁寧に4つの考え方に照らしながら取り組んでいきたいと思います。

ページの先頭へ