昨日の運動会でごあいさつした内容に、少し補足を加えてご紹介します。
運動会にはさまざまな目的がありますが、今回はその中から二つの意味についてお話しします。
一つ目は、子どもの成長を確かめる「定点観測」としての行事という意味です。
運動会は、毎年同じような活動を通して、子どもたちの成長を感じることができる大切な機会です。昨年は難しかったことができるようになったり、友達と一緒に取り組む姿が見られたりと、一年一年の成長を実感できます。そして、「来年はこんなこともできるようになるのかな」「あんな姿が見られるかもしれない」と、これからの成長に期待を膨らませることもできます。運動会は、子どもたちの今の姿を知るとともに、その先にある成長を楽しみにする行事でもあります。
二つ目は、子どもたちの発育・発達における「きょうどう性」を見ることができる行事という意味です。
この「きょうどう性」には、「共同性」「協同性」「協働性」という三つの側面があります。
一つ目の「共同性」は、同じ時間や空間を共有し、共に過ごすことです。共同生活や共同トイレといった言葉にも使われるように、みんなで同じ場を使い、ルールを守りながら生活することを意味します。例えば、かけっこでは、同じ位置から同じタイミングでスタートし、決められた距離を走ります。ルールを守りながら競い合う経験を通して、子どもたちは集団の中で過ごすための大切なことを学んでいきます。
二つ目の「協同性」は、仲間と力を合わせ、同じ目標に向かって取り組むことです。年中組が毎年披露するパラバルーンには、「花火」という技があります。みんなでバルーンを力いっぱい引っ張り、ボールを高く打ち上げる姿は、まるで本物の打ち上げ花火のようです。一人一人がタイミングを合わせ、心を一つにして取り組むことで、ボールは体育館の天井に届きそうなほど高く舞い上がります。自分一人の力だけでは生み出せない大きな成果を、仲間と協力することで実現できるのです。
三つ目の「協働性」は、一人一人が役割を担い、共通の目的に向かって力を発揮することです。年長組は、運動会のオープニングを飾るピアニカ鼓隊を披露します。鍵盤ハーモニカや打楽器、フラッグなど、それぞれが自分の役割を果たしながら、みんなで一つのマーチングをつくり上げます。一人でも欠けてしまえば、全体の演奏や動きに影響が出ることもあります。だからこそ、自分の役割を果たすことの大切さや、仲間と一つのものをつくり上げる喜びを感じることができます。そして、やり遂げたときに仲間と分かち合う達成感や、見ている人に感動を届けられたという喜びは、幼児期に得られる大きな宝物になることでしょう。
近年、子ども一人一人の主体性を尊重することが大切にされています。自分の好きな遊びを見つけ、夢中になって取り組む経験は、もちろん欠かせません。しかし、それと同時に、自分の役割を果たし、仲間と力を合わせなければ達成できない目標に向かって取り組む経験も、子どもたちの成長にとって大切なものだと考えています。
時には仲間を引っ張り、時には誰かを支え、また時には自分が仲間に背中を押してもらう。そうした経験を重ねる中で、子どもたちは人と関わることの喜びや、互いに支え合うことの大切さを学んでいきます。
一人でできることを増やすだけでなく、仲間とだからこそできることを知る。 運動会での経験が、これからの社会を仲間とともに生きていくための力につながっていくことを願っています。


