昨今は医学の発展や研究の成果により、今まで見過ごされていた軽度の発達障害の子どもたちの早期発見が可能となり、幼児期から療育支援を受けることで以前と比較すると発育発達に大きく寄与することができるようになりました。
しかしながら、知的障害に関して特に境界知能(日本人の約14%)と呼ばれるIQ70~85の幼児は、発育発達が少し遅れている程度、つまり他の幼児と比較しても性格によるものではないかという程度が多く、保護者が気になって知能検査を受けさせることがない限り、発見は難しいということが現状です。
過去にも就学前になって検査を受けたところ、境界知能であることが分かり、小学校では支援を受けることになったという事例がありました。
平均的知能は100(85~115)
保育現場では疑わしい子どもがいても、あらゆる方向から複数のベテラン先生が子どもを観察し、記録してその上で保護者に伝えるか判断をします。念には念を入れて十分に議論を重ねてからです。そのため、保護者に伝える時期が遅くなってしまいます。
それでも保護者が納得しなければ専門医に繋げることはできません。
保育者は子どもの「代弁者」であり「理解者」でもあります。
ですから子どもたちがこれからの人生において「生きづらさ」を感じることがないように、また生きる力(知識及び技能、思考力、判断力、表現力等、学びに向かう力、人間性等)の基礎を育むために取り組んでいます。
子どもの発育発達について疑問や違和感を感じたときはいつでも園に相談してほしいですし、園からお話があった際は子どものために一緒に受け止めてほしいのです。
対応が早ければ早いほどその後の人生で生きづらさは減りますし、境界知能の場合、中学3年生程度の学力が習得可能なので、一つ一つステップを踏んでいけば十分に生きる力は身につきます。認知機能が支援によって上がる子どももいます。
大切なことは否定的にとらえるのではなく、どうしたら理解できるようになるか、どのように実行できるようになるか、一緒に考え寄り添うことです。
問題を抱えている子もいない子も、親として子どもたちが幸せな人生を送るために何をしたらよいか、親自身も子育てを楽しむにはどうしたらよいか、ときには家族で考えてみるのもよいかもしれません。