コロナ騒ぎの中、降って湧いた「9月入学」。
賛成の理由として「受験に間に合わない」、「留学しやすい」などが挙げられています。
受験に間に合わないのなら受験の内容を変えればいいことだと思うし、留学する生徒は僅かな数であり、少数のために実施するにはあまりにも大きな代償となるのではないかと思います。
さて、幼稚園ではどんな問題があるでしょうか。
金銭的負担について、保育料は無償化ですから保護者の負担はありませんが、給食費、教材費、スクールバス代などは5ヶ月分負担が増えます。大学や高校に比べれば負担は少ない方と言えますが、本来支払う必要のない経費です。
職員配置について、5か月園児が長く在園するため、職員を増やす必要があります。職員や施設の面積が足りなければ待機児童が増えます。一方、入学を早め小学0年生をつくって調整することも考えられますが、その場合小学校教諭が不足し、幼稚園や保育園では職員が過剰となり、職を失う者がでます。特例で幼稚園教諭免許で小学校教諭を代替えすることも考えられますが、幼稚園は1学年減るわけですから運営が厳しい状況になります。
また、幼稚園教育要領や保育所保育指針なども改訂しなければなりません。そのため、先生方も指導を見直さなければなりませんので、教育、保育内容を大幅に変更することになり、相当な時間と労力がかかることでしょう。さらに、新入園児のことを考えると秋に大きな行事を実施することは難しく、新潟県の気候を考えると冬場に屋外の行事は難しいため、春から初夏に行事が集中、大幅な行事の見直しも考えられます。欧米の国々には運動会ようなものがないので、日本的な行事も失われるかもしれません。季節感も変わり、入学=春=桜ではなくなるので、たくさんの唱歌も歌われなくなることでしょう。
細かいことを挙げればもっと問題はありますが、私が声を大にして訴えたいことは「今じゃない」ということです。
現場では毎日コロナウイルスの対応に追われ疲弊しているのに、その上9月入学の対応を迫られてはもやは大混乱は避けられません。
それも保幼小中高大学までですから想像ができません。
細かな問題を一つ一つ丁寧に拾い上げ、教育、福祉、経済、行政等のそれぞれの分野のエキスパートが集まって知恵を絞って取り組まなければうまくいくはずがありません。
そのためには議論が必要であり、その議論も現状満足にできるとは思えないのです。
ですから反対をするわけです。